危険のない駅づくりを考える-AIによる転落事故防止-

ホームからの転落(※1)は年間3000件程度発生しています。
なかでも視覚障害者にとって駅は危険の多い場所で、これまでにも転落や接触事故防止のために様々な施策が講じられてきました。

※1 自殺は含まない

これまでになされてきた防止策

点字ブロック

特に駅のホームに設置されるものは内方線付き点状ブロックといい、点状の突起に加えてどちらがホーム側が分かるように線状の突起を設けたものが一般的です。
現在、1日の利用者が1万人以上の駅の駅のほとんどには設置されていますが、勿論点字ブロックのみで転落事故を防ぐには限界があります。

ホーム端付近の危険を報せる警告ブロックとは別に階段などへの経路を示す誘導ブロックの設置を増やすことは一見利便性・安全性を高めることに繋がりそうですが、配置次第ではかえって自分の今いる場所や方向の混乱を招く可能性もあります。

点状ブロック

線状ブロック

ホームドアの設置

ホームドアの設置は最も効果的な予防策の一つですが、設置や整備のコストがかかるほか、乗降口の制約が発生するため車両長やドア間隔、停車位置などの違いに対応できず車両の変更を余儀なくされるなどの問題があり、導入を容易に行うことができません。

利用者の多い一部の駅を優先して進められており、2020年3月末現在、全国で855駅、鉄道の駅の9%(1日の利用者が10万人以上の駅に関しては54%にあたる153駅)に導入されています。


そのほかにもホームの非常ボタンや転落検知マット、ベンチの向きの変更など様々な取り組みがなされていますが、まだまだ転落事故はなくなりません。
この状況を打破するため現在検討されているのがAIの活用です。

AIを利用して転落を防止する

障がい者を検知する

改札付近のカメラの映像にAIシステムを用いることで白杖や車いすを検知、駅員に知らせることで駅員の付き添いの徹底を可能にしようというものです。
これにより、駅員が他の業務や接客対応に追われ障害を持つお客様に気付かないといった状態の解消に繋がります。

危険エリア通行検知

ホームの端に近づくお客様を検知し、スピーカーで注意を呼び掛けることができます。
自動改札機の普及とともに駅員がホームにいないことも珍しくなく、無人で転落を防ぐことができるシステムは重要です。


生活の身近にある様々な危険から守るためにもAI技術は使われていくのです。

とはいえ、転落事故の多くは酔客によるものですし、歩きスマホ中の転落事故も少なくありません。
防止策の向上も重要ですが、私たち自身が十分に注意を払い、危なげな方を見た際に駅員に知らせるなどの配慮が何より事故防止につながるのかもしれませんね。

ライター:H.I