[グラフ入門]何も考えずに円グラフを使うのはやめにしよう

新聞やテレビなどのマスメディアやビジネス資料等で円グラフはよく用いられていますが、統計分野やなどにおいてはあまり用いられないのを知っていますか。
視覚的に分かりやすい形式な気がしますが、どうして使われていないのでしょう。

円グラフはわかりやすい?

そもそも円グラフは本当に分かりやすいのでしょうか?
なんとなく慣れ親しんでいるが故に分かりやすいと思い込んでいるのかもしれません。

あるデータについてまとめた右の円グラフを見てください。
読み取れる情報を考えてみましょう。

  • data1が最も多く割合を占めており、その割合は全体の3分の1程度だ。
  • 占める割合はdata1、data2、data3の順に多い。

これ以上情報を出すのは難しいのではないでしょうか。
そうです。円グラフは全体の占める割合を見るためのグラフですが、それ以上の情報が全く持ってないのです。
慣例として大きいものから順番に並べていくのが一般的となっていますが、それすら守られなければ順位の比較すらままならないことでしょう。

また、「data1はdata3と比べてどのくらい多いの?」というような比較も円グラフはなかなか困難です。
これは人間が面積の比較が得意でないことが原因です。
特に右のように色のついた円グラフにおいては、暖色系の色は面積が大きく、寒色系の色はが小さく見える傾向があります。膨張色・収縮色という言葉でファッション誌等でもよく取り沙汰されますね。

円グラフの欠点はこれだけではありません。

右のグラフは先ほどのグラフを数年後再度データを取り直して作成したものです。
上のグラフと比べてdata1は減少、data2とdata3は増加したように見えます。

果たして本当にそうでしょうか。

繰り返しになりますが、円グラフは割合を示すものです。
全体に対する割合に焦点が当たっているため、全体の量そのものはグラフから読み取ることができません。
(そのために中心や円グラフの下部に総量を数値で載せているグラフも存在します)

たとえば、全体が300から480に、data1が100から140に増加した場合を考えてみましょう。
data1の値自体は増えているにもかかわらず、全体を占める割合は33.3%から29.2%へと減少します。

絶対量が分からないために複数の円グラフを比べることが難しく、推移の様子をとらえにくいというのも、円グラフの欠点の一つといえるでしょう。

では代わりに何を使えば…?

代わりに用いられるグラフとしては帯グラフ、棒グラフが代表的です。
帯グラフは長方形を全体として割合を示すグラフです。

値の比較が面積から長さへと変化したため容易にはなりましたが、複数の帯グラフの比較は円グラフ同様の問題が依然として残ります。
とはいえ、占める割合を見せることが主目的であるならば帯グラフが適切といえるでしょう。

データそのものの大小を見せたい場合はやはり棒グラフへと帰着します。

値の大小の比較、絶対量の確認など様々な点でやはり棒グラフは優れており、使いやすいですね。
ですが、比較的他のグラフと比べて場所を取るように感じる場面もあります。

値の比較を細かくしたい場合は横幅がある程度欲しいですし、項目が増えれば増えるほど縦の長さが長くなるのも棒グラフの使用が紙面等で避けられる理由かもしれません。

本当に使ってはいけない?

先ほども触れたように紙面等では限られた面積でデータを可視化する必要があります。
場合によっては棒グラフで表すことが適切なデータが、帯グラフや円グラフで表現されることも限られた空間では仕方ないのかもしれません。

では、円グラフを用いるのが良いデータというのはないのでしょうか?
右のように、二種類のみのデータを取り扱っている場合は円グラフを用いても欠点があまり気にならないと言えるでしょう。

過半数がどちらであるか、また多数派が半数をどの程度超えているかが視覚的にわかれば十分ですから、円グラフの割合のみを示すという特性が上手く活用されています。

CMやチラシ等の宣伝にてよく円グラフが登場する際も、複数択設問であっても可視化する際に選択肢をまとめて表示するなどして二択かのようにしているものが多くみられます。


円グラフはここまでに挙げた欠点から使用を避けるべきだという声も聞かれますが、その欠点を理解し表現したいことを満たせているのなら勿論それで構いません。
データに合わせたグラフ選択は難しいものですが、効果的に使い分けられれば、うまくデータから物事を伝えることができます。
円グラフに限らず、グラフを選択するときにはそのグラフがデータと合っているか、表現したいことを見せるのに適しているかを考えるようにしましょう。

ライター:H.I